2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起伸長におけるMARCKS脱リン酸化の制御とその役割
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17790071
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
白石 光也 北里大学, 薬学部, 助手 (20383656)
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Keywords | 神経突起伸長 / MARCKS |
Research Abstract |
神経回路の形成過程では、神経突起伸長の誘導や軸索ガイダンスが緻密に制御されており、その結果として複雑な神経回路が形成される。MARCKSはアクチン結合タンパク質であり、脳の正常な発育に必須のタンパク質であること、また、神経突起伸長に関与することが示唆されているが、その役割の詳細については明らかでない。神経回路形成の過程において、アクチン骨格の再構築が重要な役割を果たしていることが知られていることから、神経突起伸長におけるMARCKSリン酸化制御とアクチン骨格再構築との関連を明らかとすることを目的として検討を行った。株化神経細胞(SH-SY5Y)のIGF-1による神経突起伸長刺激により、一過性のMARCKSリン酸化量の減少が認められた。阻害薬を用いた検討から、このIGF-IによるMARCKSリン酸化量の減少はPI3-Kを介していることが示された。MARCKSをリン酸化することが知られているPKCまたはROCKの阻害薬処置による検討から、SH-SY5Y細胞におけるMARCKSリン酸化量の制御には、これらのリン酸化酵素が関与しているものと考えられた。また、IGF-I刺激はRhoA活性の低下を引き起こしたことから、IGF-IによるMARCKSリン酸化量の減少には、RhoA-ROCK経路の活性制御が深く関与しているものと考えられた。IGF-I刺激により、細胞質分画から膜分画へのMARCKSの移行がみとめられ、さらに、MARCKSの膜分画への移行に伴い、膜分画におけるアクチン量の増加が認められた。一方、IGF-I刺激により、細胞膜付近における強いF-アクチン染色とMARCKSの共局在が細胞免疫染色により観察された。以上の結果は、IGF-I刺激によるアクチン骨格再構築にMARCKSが関与する可能性を示しているものと考えられた。
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