2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790073
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中谷 良人 昭和大学, 薬学部, 講師 (80266163)
|
Keywords | 酵素 / 脂質 / 遺伝子改変動物 / ホメオスタシス / プロスタグランジン |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)E2生合成経路の最終段階を触媒する酵素である細胞質型PGE合成酵素(cPGES)を同定し、シクロオキシゲナーゼ(COX)-1と機能連関して即時的PGE2産生に関与することを明らかにしてきた。一方、cPGESはコシャペロンタンパク質であるp23と同一分子である側面も有しており、cPGES欠損マウスの作製を試みた。ヘテロマウスは30週以上生存し、外見上ワイルドタイプマウスと違いは見られなかった。cPGES+/-マウス同士を交配し、胎生の様々な時期で胎児を摘出して外観を観察後、パラフィン切片を作製し、染色して組織像を観察した。外観上の特徴として、胎生13.5日目まではcPGES+/+マウスとcPGES-/-マウスに顕著な違いは見られなかったが、16.5日目以降のcPGES-/-マウスは皮膚に透明感と付着性を認め、さらにcPGES+/+マウスに比べて小さく、有意に体重が減少していた。組織像の観察の結果、cPGES-/-マウスの皮膚は表皮形成の異常、すなわち表皮特に角質形成の不全が観察された。また、肺の肺胞形成も不十分であった。胎生18.5日のcPGES+/+胎児は母体から摘出した後、すぐに呼吸を開始し蘇生することができたが、cPGES-/-マウスは摘出後呼吸を開始せず30分以内に死に至った。以上の結果から、cPGESの遺伝子欠損により皮膚、肺などの上皮系の組織に分化や増殖の傷害が起こり、成長遅延や組織形成不全が惹起されることがわかった。
|
Research Products
(1 results)