2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790090
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加来田 博貴 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (80362961)
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Keywords | 細胞分化 / 復素環化合物 / レチノイド / RAR / RXR / 蛍光 |
Research Abstract |
分化とは、細胞がその目的に応じて特定の形・機能を持つようになることである。その本質は、DNAの特異的遺伝子に基づいて合成されるタンパク質により行われるが、その根本にはDNAに結合しRNAへの転写を制御する核内受容体などによる制御がある。その制御の異常は、がんなどの疾病の原因となりうる。本研究では、分化制御および抗がん剤開発に対する興味から、その代表例であるレチノイドに着目し、その標的分子であるレチノイン酸受容体RARおよびレチノイドX受容体RXRを標的としたアゴニスト、およびアンタゴニスト開発を目指し、構造展開容易な種々の複素環化合物をデザイン、合成し、ヒト急性前骨髄球性白血病株HL-60細胞に対する分化誘導評価を行った。その結果、RARの代表的リガンドであるAm80のアミド結合部位を化学的に安定な2,4(1H,3H)-quinazolinedione骨格で置換した化合物を合成したところ、レチノイドアンタゴニスト活性を有する化合物を見出した。RXRリガンドについては、その既知リガンドの高脂溶性が体内蓄積等の問題を生じうると考え、スルホンアミドタイプの化合物をデザイン、合成し、活性評価を行った。その結果、メシルスルホンアミド基を有するニコンチン酸化合物にアゴニスト活性を見出した。現在、これらの各受容体サブタイプ特性を検討するために、レポータージーンアッセイを進めている。さらに、coumarin環のような蛍光性の複素環骨格からなる化合物を合成することにより、RI標識レチノイン酸に変わるレチノイド受容体結合試験化合物を目的としだ蛍光性レチノイン酸受容体リガンドの創製も試みた。その結果、いくつかの化合物にレチノイドアゴニストおよびアンタゴニスト活性を見出した。なお、これらの化合物について蛍光スペクトル解析等による蛍光特を検討したが、残念ながら顕著な蛍光強度は得られなかった。現在、本問題を解決すべく新たな化合物合成を行っている。
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