2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンのアセチル化により遺伝子発現を制御するリガンドの創製と医薬への応用
Project/Area Number |
17790092
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 孝禎 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助手 (90372838)
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Keywords | 有機化学 / 酵素 / 遺伝子 / 発現抑制 / 癌 |
Research Abstract |
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)には18種類のアイソザイムが知られているが、アイソザイム選択的HDAC阻害薬は、各アイソザイムのより詳しい機能の解明に有用であり、副作用の少ない抗がん剤としても期待できる。本研究では、HDACアイソザイムの一つであるHDAC6に着目し、その阻害薬の創製を目的とした。すでに報告されているHDAC6選択的な小分子合成基質をリード化合物とし、HDAC6選択的阻害薬をを設計・合成した。HDAC6はα-チューブリンを基質とすることから、western blottingを用いてアセチル化ピストンとα-チューブリンを検出することでHDAC6選択性を評価した。その結果、細胞内でHDAC6を選択的に阻害する化合物を見出した。 また、HDACファミリーの酵素であるSIRTは、テロメア領域のヒストンをNAD^+に依存して脱アセチル化することにより遺伝子発現を制御し、老化に関与することが示唆されている。一方でSIRTアイソザイムの一つであるSIRT1は、非ヒストンタンパクであるp53を脱アセチル化し、その活性を抑制することも報告されている。最近、SIRT1がHIVのTatタンパクの脱アセチル化を行い、HIVの増殖に関与することも明らかにされた。したがってSIRT阻害薬は、SIRTの詳しい機能を解明するための生物試験用試薬としてだけではなく、新たな作用機序の治療薬としても期待される。本研究では、既存のSIRT阻害薬として知られるcarba-NAD^+とSIRTホモログの共結晶構造を基に、いくつかのベンズアミド誘導体を設計・合成し、酵素阻害活性評価を行った。その結果carba-NAD^+よりも強いSIRT阻害活性を持つ化合物を見出した。
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