2005 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体欠損マウスを用いた環境ホルモンの脳攪乱発現機構の解明
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17790101
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
副田 二三夫 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (10336216)
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Keywords | 脳・神経 / 環境 / 遺伝子 / 行動学 / 神経科学 / 内分泌撹乱化学物質 / 受動的回避反応 / リン酸化型CaMKII |
Research Abstract |
本年度はDES暴露による脳撹乱作用の作用発現機構にエストロゲン受容体(ER)のαアイソフォームが関与しているのか否かについて、ERαKO, Wild typeマウスを用いて行動科学的、神経科学的に検討した。 1.行動科学的実験 学習行動を評価するために、受動的回避反応試験を行ったところ、DESを暴露した雄のWild type仔マウスは、Corn oilを暴露した雄のWild type仔マウスに比べ受動的回避反応が有意に阻害され、DES暴露による学習能力の異常が認められた。しかし、雌マウスでは学習能力に異常は認められなかった。そこで、DESを暴露した雄のERαKO仔マウスの学習能力を調べたところ、Corn oilを暴露した雄のERαKO仔マウスに比べ受動的回避反応は阻害されなかった。よってDES暴露による受動的回避反応の阻害には、何らかの形でERαが関与していることが示唆された。また、ERαKOマウスとWild typeマウスの受動的回避反応を比較したところ、ERαKOマウスで受動的回避反応が阻害される結果が得られ、ERαの欠損が学習異常に関与している可能性が示唆された。 2.神経科学的実験 DESを暴露した雄のWild type仔マウスは、Corn oilを暴露した雄のWild type仔マウスに比べ、リン酸化型CaMKII(pCaMKII)のレベルが増加し、これまでと同様の結果が得られた。そこで、DESを暴露した雄のERαKO仔マウスのpCaMKIIレベルを調べたところ、Corn oilを暴露した雄のERαKO仔マウスのpCaMKIIレベルに比べ、変化しなかった。よってDES暴露によるpCaMKIIレベルの増加にも、何らかの形でERαが関与していることが示唆された。
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