2005 Fiscal Year Annual Research Report
メタロチオネイン欠失細胞を用いたカドミウム輸送系の分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
17790106
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
藤代 瞳 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (10389182)
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Keywords | カドミウム / 輸送体 / ZIP8 / DNAマイクロアレイ / siRNA / メタロチオネイン / Slc family / 耐性 |
Research Abstract |
Cd毒性の軽減に関与する生体内因子として、メタロチオネイン(MT)の重要性は詳細に検討されてきたが、MT以外のCd毒性を修飾する因子についてはまだ十分に解明されていない。また、Cdの細胞への取り込みに関与する輸送体として、小腸の2価金属輸送体であるDMT1の関与が報告されているが、それ以外のCd輸送機構についてもほとんどわかっていない。MT欠損マウス由来の細胞からCd耐性細胞を樹立し、その性状としてCd輸送が変化していることが明らかにされた。そこで、本研究ではMT欠損Cd耐性細胞とその親株細胞との間における遺伝子発現の差異をDNAアレイ、及びReal time PCRの手法を用いて検討した。DNAアレイは再現性が問題となるため、特に注意をして候補遺伝子の検索を行った。その結果、Cd耐性細胞で高発現している、あるいは発現が抑制されている複数の候補遺伝子を見出した。その中にはいくつかの輸送体遺伝子も存在していた。そこで、スクリーニングされた各候補遺伝子の発現レベルをReal time PCRで確認した。その結果、物質輸送に関与する遺伝子スーパーファミリーであるAbcc family,およびsolute carrier familyの中で、特に顕著に発現が低下している遺伝子としてZIP14(Slc39a14)が見出された。ZIP14はZnの取り込みに関与するZIP familyの1つである。そこで全てのZIP遺伝子の発現レベルをReal time PCRで調べたところ、ごく最近Cdの取り込みへの関与が報告されたZIP8についても発現低下が認められた。これまでに本研究者はDMT1を標的としたsiRNAベクターを恒常的に発現する細胞株を樹立することに成功したが、細胞が弱くなり実験が進められなかった。そこで今回siRNAをtransientに発現する系を構築し、ZIP8のノックダウンに成功した。ZIP8ノックダウン細胞においてCd蓄積量の顕著な減少が見られた。今年度の研究により、Cd輸送に関与する遺伝子の候補としてDMT1のみならず、ZIP8,ZIP14が見出された。
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Research Products
(1 results)