2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスの細胞内動態定量化情報に基づいた人工遺伝子ベクター開発の新規アプローチ
Project/Area Number |
17790110
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秋田 英万 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (80344472)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルス / 人工ベクター / 細胞内動態 / 定量化 |
Research Abstract |
アデノウイルスと人工ベクター間の遺伝子発現比較を行った結果、LipofectAMINE PLUSにおいては、アデノウイルスと同等の早さで、また、同等の遺伝子発現を示す事が明らかと成った。しかし、同程度の遺伝子発現を示すためには、LipofectAMINE PLUSにおいてはadeno virusと比較して、3桁以上の遺伝子コピー数を必要とする事が明らかとなった。このアデノウイルスの単位コピーあたりの発現活性がどの過程に原因が有るかを明らかとするため、取り込み過程をTaqMan PCRにより算出した。各オルガネラへの分布割合をCIDIQにより算出し、取り込み量と掛け合わせる事により各オルガネラへの存在量の絶対値を算出した。 その定量、同程度の遺伝子発現を示すために必要なdoseは、アデノウイルスと比較してLipofectAMINE PLUSにおいて、3000倍高い事が明らかとなった。取り込み過程においては、LipofectAMINE PLUSにおいて、アデノウイルスと比較して4桁高い事が明らかとなった。さらに、その細胞への導入効率は、アデノウイルスで投与量の2.4%、LipofectAMINE PLUSで8.8%と、LipofectAMINE PLUSの方が有意に高い結果であった。一方、いったん細胞内に取り込まれると、エンドソーム/リソソームから細胞質への脱出過程に大きな差は認められないものの、アデノウイルスの方が高い核移行割合を示した。この事より、アデノウイルスの方が、細胞内動態の観点から優れている事が示唆された。しかしながら、この差は、先に示した遺伝子発現効率の数千倍の差を説明するには不十分であった。核移行された遺伝子の絶対量を比較すると、lipofectAMINE PLUSのほうが、数千倍高い結果となった、遺伝子発現を核移行されたDNAコピー数で除した値は、アデノウイルスにおいて8100倍高い事が明らかとなった。従って、人工ベクターの改良を行う上で、核移行はもちろんであるが、その先の転写過程を劇的に亢進する技術が必要である事が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)