2005 Fiscal Year Annual Research Report
病態時における血液脳関門の破綻と医薬品による中枢神経系副作用の発現との関係解明
Project/Area Number |
17790117
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
川上 純一 富山大学, 附属病院, 助教授 (50272539)
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Keywords | 血液脳関門 / 薬剤性痙攣 |
Research Abstract |
本研究では、血液脳関門(BBB)透過性に及ぼすテオフィリン(TPL)誘発痙攣の影響を評価することを目的とした。6週齢のddY系雄性マウスの尾静脈から、TPL溶液(18mg/mL)を0.94mL/min/gの注入速度で、正向反射が消失して疾走痙攣が発現するまで静脈内定速注入した(Seizure(+)群)。Seizure(-)群には低濃度のTPL溶液(12mg/mL)を、control群にはsalineを注入した。注入終了後、速やかに水溶性物質のマーカーとしてfluorescein溶液を40mg/kgで尾静脈内に瞬時投与した。それぞれの個体において、脳組織中fluorescein濃度(Cbr)、血漿中fluorescein濃度(Cp)を求め、みかけの脳組織移行率(Rc)と血漿中蛋白結合率(fb)を算出した。Seizure(+)群とcontrol群ではintegration plotにより脳組織取り込みクリアランス(Ki)を求めた。痙攣発現とTPLの存在によるfluoresceinの蛋白結合率の変化は認められなかった。Seizure(+)群はcontrol群に比べて、Kiを有意に上昇させた。Fluorescein投与5分後においてseizure(+)群は、seizure(-)群やcontrol群と比べて、Rcを有意に上昇させた。また、seizure(-)群はcontrol群に比べて、Rcを有意に上昇させる傾向が見られた。薬物としてのTPLの存在の有無と比較して、痙攣発現の有無によるBBB透過性の上昇傾向のほうが強いものであった。以上の知見から痙攣発現がBBB透過性を上昇させる因子の一つであることが示唆された。また、同様のBBB透過性に関する検討を、薬剤誘発の急性腎障害モデルマウスでも行った。
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