2007 Fiscal Year Annual Research Report
病態時における血液脳関門の破綻と医薬品による中枢神経系副作用の発現との関係解明
Project/Area Number |
17790117
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 純一 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
|
Keywords | 血液脳関門 / 薬剤性痙攣 / 中枢移行性 |
Research Abstract |
医薬品による中枢性痙攣発現の要因にはpharmacokinetics(PK)とpharmacodynamics(PD)によるものがある。PKの要因の一つとして血液脳関門(BBB)のバリアー能の破綻による中枢移行性の亢進が考えられる。痙攣を誘発する薬物としてtheophylline(TP)があり、TP関連痙攣を重篤化させる脳浮腫の発現機序として痙攣及び薬物による脳血管障害の可能性が示唆されている。本研究ではマウスを用いてBBB透過性に及ぼす薬物とそれにより惹起される痙攣の影響を評価することを目的とした。脳室内投与実験:TP又はnorfloxacin(NFLX)を脳室内に瞬時注入して痙攣発現の有無を観察した。静脈内投与実験:TP溶液(12又は18mg/mL)を痙攣発現まで静脈内定速注入した。TP+diazepam(DZP)群にはDZP(4mg/kg)前投与により痙攣が発現しない状態下で高投与量のTPを同時間低速注入した。痙攣発現時にfluoresceinを瞬時に尾静脈内投与し、5分後にその脳組織、血漿中濃度(Cbr、Cp)を測定した。みかけの脳組織移行率(Rc)、取り込みクリアランス(Ki)及び初期分布容積(Vi)を算出した。脳室内投与では、NFLXとTP共に投与量依存的に痙攣発現させた。痙攣発現によるKiの変化は認められずBBB透過性の変化は低いことが示唆された。静脈内投与では、TPの投与量依存的なRcとKiの上昇が見られた。一方、高投与量のTP群とTP+DZP群との間ではRcやKiに有意な差は見られなかった。以上の知見より、痙攣発現の有無と比較してTP濃度に依存したBBB透過性の上昇傾向の方が大きいと考えられた。
|