2005 Fiscal Year Annual Research Report
インフラックス・トランスポーターの異物取り込み・排出分子機構
Project/Area Number |
17790118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
久保 義行 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (20377427)
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Keywords | トランスポーター / 薬物体内動態 / 有機カチオン / 遺伝性疾患 / 遺伝子改変動物 / 膜裏打ちタンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、ナトリウムイオンやプロトン勾配と共役して、栄養物質・薬物(異物)生体内取り込み機能(インフラックス)を有するとともに、交換系として薬物排出機能を有する薬物トランスポーターに関して、遺伝子改変動物を作成し、薬物動態学的・分子生物学的解析を実施することによって、このようなマルチ機能を有するトランスポーターが小腸および腎臓における薬物・栄養物質経細胞輸送の分子実体であることを検証する。 本年度では、最も重要な解析ツールであるOCTNs遺伝子欠損動物作成に精力的に取組み、その成果として、来年度初頭には、OCTN1遺伝子欠損動物の利用が可能になる(現在、交配中)。現状、OCTN1欠損動物はキメラの状態であるが、これに関して、特に顕著な異常は観察されていない。さらに、OCTN1/N2ダブル・欠損動物作成に関しても、そのターゲティング・ベクターの構築を開始しており、早期に相同組換え体のスクリーニングに移行する予定である。順調に行けば、来年度中に、OCTN1、OCTN2、OCTN1/2ダブルの3種類の遺伝子欠損動物が出そろう予定である。 欠損動物作成の傍ら、遺伝子欠損動物を用いた個体解析において解析対象とする候補薬物群のスクリーニングをアフリカツメガエル卵母細胞発現系およびLC-MS/MS定量系を利用して開始した(現在も実施中)。ここでは、遺伝子欠損動物を用いた個体解析の際にも利用可能な定量系の確立も目指している。候補薬物群の母集団としては、有機カチオン系の抗がん剤、向精神薬、抗生物質などを取り挙げており、OCTNsと親和性が高いものに関しては、個体解析でその体内動態変動を解析する予定である。 以上、本研究は、技術上困難の伴うプロセスを経るにも拘らず、順調に進行しており、来年度実施予定の個体解析においては、OCTNsの生理学的・薬物動態学的役割に加え、種々の炎症性疾患との関わりを解明する予定である。
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