2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞指向型リポソームを用いた新規DNAワクチン療法の開発
Project/Area Number |
17790119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 助手 (20322307)
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Keywords | 遺伝子治療 / DNAワクチン / 遺伝子デリバリー / 樹状細胞 / ターゲティング / 癌 / リポソーム / カチオン性リポソーム |
Research Abstract |
本研究は、in vivo投与によりDNAワクチン療法を実現するための新規ターゲティング型非ウイルスキャリア開発を目的とする。大部分の遺伝子導入キャリアは、in vitroを基盤として開発されており、生体内の様々な障壁を考慮されていない為、in vivoにおいては遺伝子発現を示さないことが知られる。そこで本年度は、in vivo遺伝子導入のための生体内障壁を考慮に入れた製剤設計を中心に、検討をおこなった。まず、複合体形成時の溶媒のイオン濃度が安定な複合体形成に重要であることを明らかにした。生体成分との相互作用に関して、血管内へカチオン性リポソーム複合体を静脈内投与後、主に赤血球との相互作用により標的細胞へのデリバリーが阻害されていることを明らかにした。 よって、腹腔内は生体成分も血管内と比べて少なく、腹腔内やリンパ、脾臓に存在する抗原提示細胞への長期的かつ効率的な遺伝子導入が可能であることが推察された。そこで、腹腔内投与におけるリポソームの製剤設計に関して検討をおこなったところ、腹腔内投与では中性脂質としてpH感受性のDOPEを含むカチオン性リポソーム複合体の遺伝子導入能は低く、cholesterolを用いてリポソーム膜を安定化させることで遺伝子発現を改善できることが示唆された。さらに、マンノース修飾リポソーム複合体を腹腔内投与後の遺伝子発現特性は、静脈内投与に比べ、樹状細胞が多数存在する脾臓において約20倍高く、また、遺伝子発現期間も約3倍延長し、腹腔内投与により樹状細胞への遺伝子導入能および期間を改善できることを明らかにした。以上、DNAワクチン療法実現に向けた樹状細胞へのin vivo遺伝子導入における製剤設計において重要な基礎的知見を得ることができた。
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Research Products
(4 results)