2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移関連因子を標的とするエフェクター分子デリバリーによる癌転移抑制戦略
Project/Area Number |
17790121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40273437)
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Keywords | 癌転移 / カタラーゼ / 活性酸素 / ターゲティング / 化学修飾 / RNA干渉 / NF-kappaB |
Research Abstract |
実験的肝転移モデルにおいて肝細胞ターゲティング型のGal-catalaseが他のcatalase誘導体と比較して有意に転移を抑制したことから、癌細胞と肝実質細胞との相互作用が結果的に癌細胞の肝転移を亢進することが考えられる。そこで、癌細胞と正常細胞との相互作用による活性酸素種の生成および転写因子NF-kappaBの活性化、mm憧生について検討した。NF-kappaB活性依存的にルシフェラーゼを発現するベクターとin vivoイメージングシステムを用いることで、体外から転写因子活性を定量的かつ経時的に評価可能なシステムの開発に成功した。これにより、マウス結腸癌colon26細胞を門脈内に移植することで肝臓構成細胞のNF-kappaBが活性化すること、またこの活性化がGal-catalaseの投与により抑制されることが明らかとなった。また、マウス門脈内に移植したcolon26のNF-kappaB活性もcatalase誘導体の投与により有意に抑制された。一方、colon26の門脈内への移植により、転移巣を含む肝臓で血管基底膜の構成成分であるIV型コラーゲンを分解するMMP-9活性が増大していることが示された。このMMP活性の増大もGal-catalaseの投与により抑制されたことから、Gal-catalaseによる肝転移抑制にはMMP-9発現亢進の抑制が関与することが示唆された。そこでMMP-9を標的とする短鎖ヘアピンRNA (shRNA)発現プラスミドベクターを設計し、予めマウス肝臓に導入した。これにより、colon26細胞の門脈内移植による肝臓でのMMP-9発現の増大が抑制されるとともに、肝転移癌細胞数も有意に抑制された。そこで、MMP-9発現を充進する上流の分子としてhypoxia inducible factor (HIF)-1に注目し、HIF-1alphaの遺伝子ノックダウンによる癌転移抑制を試みた。その結果、HIF-1alphaを標的としたshRNA発現ベクターを投与することで、結腸癌細胞の肝転移を有意に抑制することに成功した。
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