2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎疾患増悪過程における有機イオントランスポータの発現変動機構に関する研究
Project/Area Number |
17790122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本橋 秀之 京都大学, 医学研究科, 助手 (30359822)
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Keywords | トランスポータ / 腎疾患 / 有機カチオン / 発現変動 |
Research Abstract |
本年度は、さらに腎疾患時の発現量について詳細なデータを収集するため、腎疾患患者におけるトランスポータ発現量についてデータを収集した。その結果最終的に京都大学医学部附属病院における腎疾患患者37名についてトランスポータ発現量のデータを収集した。またこれまで、有機アニオントランスポータ発現量とアニオン性薬物の腎排泄能との相関のみについて解析を行ったが、本年度からは、さらに有機カチオントランスポータとカチオン性基質の腎排泄速度についても検討した。尚、本研究は京都大学医学部・医学研究科医の倫理委員会の承認を得て実施された。 1,カチオン性基質N^1-methylnicotinamide(NMN)の腎排泄速度 京都大学医学部附属病院腎臓内科において、確定診断のため腎生体検査が行われた37名の患者を対象とした。これらの患者は24時間蓄尿検査を実施されており、余剰の血液並びに尿酸検体を用いてNMN腎排泄速度について検討した。その結果、患者間で約20倍の差が認められた。さらに、臨床上もっとも汎用されるクレアチニンクリアランスとの相関について検討したところ、'有意な相関は認められるものの、相関係数は0.60と高くなく尿細管分泌を受ける薬物の腎排泄速度の予測にはクレアチニンクリアランスでは不十分であることが示唆された。 2.有機カチオントランスポータ発現量とNMN排泄速度との相関 腎疾患患者における有機カチオントランスポータ発現量について検討したところhOCT2が最も高い発現量を示した。また、NMN排泄速度との相関について検討したところ、いずれのトランスポータ発現量とも有意な相関は認められなかった。これは、尿中に排泄されるNMNの約50%は糸球体濾過の影響を受けることに起因すると考えられた。従って、糸球体濾過速度を推定式より算出し補正を行ったところ、hOCT2発現量との間に相関が認められた。 以上より、カチオン性薬物の腎排泄速度が有機カチオントランスポータの発現量に影響を受けることが示唆された。
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