2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍組織標的化アデノウイルスベクターの創製と癌遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
17790123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 裕香 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (00360264)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター |
Research Abstract |
癌自殺遺伝子治療においては、正常組織に対する殺細胞効果(副作用)を回避するために、導入遺伝子の発現を癌細胞特異的に制御できるベクターの開発が望まれている。そこで本研究では従来型アデノウイルスベクターと比較して、極めて効率良くメラノーマ細胞への遺伝子導入が可能なRGDファイバーミュータントアデノウイルスベクター(AdRGD)を用いたin vivoメラノーマ自殺遺伝子治療の安全性を向上させる一手段として、メラノーマ特異的遺伝子発現制御機能を付与した新規AdRGDを構築し、その有用性を評価した。 まず、TyrプロモーターまたはTERTプロモーターの制御下にレポーター遺伝子を発現するAdRGDを構築し、その遺伝子発現特性を調べたところ、Tyr制御型AdRGDはメラノーマ細胞特異的に、TERT制御型AdRGDは腫瘍細胞特異的に遺伝子を発現することが確認された。 そこで、各プロモーター制御下に、治療用遺伝子としてHSVtkを搭載したAdRGDを構築し、マウスメラノーマモデルに対して腫瘍内投与した際の治療効果を評価したところ、いずれもベクター用量依存的な腫瘍増殖抑制効果を示した。さらに、腫瘍内投与後の標的外組織における遺伝子発現を解析したところ、遺伝子発現に特異性の無いCMVプロモーター制御型AdRGDを投与した場合には、腫瘍のみならず種々の正常組織において高い遺伝子発現が認められたのに対し、TyrまたはTERTプロモーター制御型AdRGDを投与したマウスにおいては、いずれの正常組織においても遺伝子発現はほとんど認められなかった。これらの結果より、腫瘍特異的プロモーターを搭載したAdRGDは、有効性と安全性に優れたメラノーマ自殺遺伝子治療用ベクターとして非常に有望であることが示された。
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Research Products
(1 results)