2006 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍組織標的化アデノウイルスベクターの創製と癌遺伝子治療への応用
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17790123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 裕香 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (00360264)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター |
Research Abstract |
前年度の検討により、腫瘍特異的プロモーターを搭載したアデノウイルスベクター(Ad)は、有効性と安全性に優れた癌遺伝子治療用ベクターとして有用であることが示された。本年度は、これらを全身性投与可能なベクターに発展させるため、さらなる改良を試みた。 まず、TERTプロモーターまたはCMVプロモーターの制御下にレポーター遺伝子を発現するAdのキャプシドを、ポリエチレングリコール(PEG)で修飾(PEG分子量5,000、修飾率95%)したPEG-Ad-TERT/Luc、PEG-Ad-CMV/Lucを構築し、腹部担癌マウスに尾静脈内投与した際のベクター粒子分布および遺伝子発現分布を解析した。その結果、ベクター粒子の分布はプロモーター改変の影響を受けずほぼ同様のパターンを示し、いずれにおいても血中滞留性の向上や腫瘍への集積性が確認された。一方、遺伝子発現については、標的組織である腫瘍における発現と、副作用の主因となる肝臓での発現の比を算出したところ、PEG-Ad-TERT/LucはPEG-Ad-CMV/Lucと比較して、最大10,000倍も高値を示し、標的外の組織では、たとえ感染しても遺伝子発現が抑えられることが判明した。このことから、PEG-Ad-TERTは、PEG修飾による体内動態制御と、プロモーター改変による遺伝子発現制御の両面から腫瘍選択性を増強されており、全身投与型ベクターとして有望であることが示唆された。 次に、腫瘍組織への集積1生をさらに向上させるため、PEG鎖の先端にターゲティングリガンドを付与する新しいシステムを構築し、その有用性を評価した。αv-integrinは腫瘍血管内皮細胞および多くの腫瘍細胞に高発現していることが知られているため、integrin指向性のRGD配列を含むペプチド(YGGRGDTP)をPEG片末端に2分子付与したRGD-PEGの合成法ならびに精製法を確立した。 RGD-PEGで修飾したAdは、PEG-Adと同様に血中滞留性の向上や腫瘍への集積性を示したものの、それ以上の増強は確認されなかった。
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