2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790124
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 任 神戸大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (80379411)
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Keywords | 腎癌 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
腎癌の治療に対しては外科療法が一般的であるが、外科療法の選択が行えない場合の奏功率は必ずしも満足できるものではなく、原因の一つに腎癌がほとんどの抗癌剤に対して抵抗性を示すことが挙げられる。最近、日本人における抗癌剤ゲフィチニブの有効性に対する上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子多型の影響が議論されており、腎癌における本剤の有効性を検討する上でもその発現量や遺伝子多型に関する情報は必須となる。今年度は、標的遺伝子をEGFRとし、抗癌剤耐性メカニズムの解明を目的として腎癌患者からの摘出腎組織における癌部と非癌部の遺伝子発現量解析ならびに遺伝子多型解析を行った。対象は同意の得られた腎癌患者19名(男性9名、女性10名)とした。平均年齢は61.0±13.1歳であった。各患者におけるEGFR遺伝子発現量はリアルタイムPCR法を用いて測定した。その結果、βアクチンで補正したEGFRの相対的遺伝子発現量は、非癌部と比較して癌部において約20倍の発現量上昇を認めた。一方、EGFR遺伝子エクソン18,19,21上に報告されている多型についてダイレクトシークエンシング解析を行ったところ、対象患者19名の血液、癌部、非癌部のいずれから抽出したDNAにおいても検討したいずれの遺伝子変異も認められなかった。本結果は、腎癌に対する抗癌剤ターゲットとしてEGFRが候補になり得ること、また、ゲフィチニブの腎癌への臨床応用を考えた場合に既報の遺伝子多型は有効性の指標となり得ないことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)