2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790126
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤 秀人 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90346809)
|
Keywords | methotrexate / chronopharmacology |
Research Abstract |
RA症状の進行にともなうRA因子の日内変動の変化を検討するため、RA進行前である10週齢とRA進行後である15週齢のMRL/1prマウスを対象に検討を行った。すると自己免疫の程度の指標であるIgG-RF抗体価および炎症性マーカーであるSAA濃度は、RA症状の進行と共に10週齢と比較し15週齢で有意な上昇を示した。しかしながら10週齢および15週齢のIgG-RF抗体価は共に有意な日内変動が認められず、また10週齢の血中SAA濃度に有意な日内変動が認められなかったのに対して、15週齢の血中SAA濃度は明期に高値を暗期に低値を示す有意な日周リズムが認められた。またRAの炎症を引き起こす原因となるサイトカインを抗体マイクロアレイ法にて網羅的に測定した結果、RA症状の進行にともないSAAと同様に明期前半にピークを示す有意な日周リズムがTNF-αで認められた。またRA症状の進行にともない白血球内TNF-α mRNA発現量にも暗期後半にピークを示す日周リズムが認められた。そこで炎症に関与するTNF-αの日周リズムをターゲットとし、抗リウマチ薬であるMTXの時間薬理学的検討を試み、RAの治療効果を評価したところ、TNF-αの日周リズムがピークを示す前に投薬した方が、トラフを示す前に投薬した方と比較し、有意にRAの治療効果が得られた。 今回の検討により、MRL/lprマウスにおいてRA症状の進行と共に自己免疫は進行し、炎症症状は明期に悪化することが明らかとなった。また炎症性サイトカインであるTNF-αにおいて明期前半に高値を暗期後半に低値を示す有意な日周リズムが認められた。さらに抗体マイクロアレイ法および投薬実験によりこの炎症症状は主に炎症性サイトカインであるTNF-αにより惹起されていることが示唆された。つまりRAの病変形成過程において中心的な作用を有するとされるサイトカインの中でも、TNF-αがRAにおいて重要であることが示唆された。投薬実験においても、炎症に関与するTNF-αの日周リズムを考慮してMTXを投薬することでRAの治療に有効であることが示唆された。
|