2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍新生血管傷害療法を応用した膵がんに対する新規アプローチ
Project/Area Number |
17790128
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
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Keywords | 腫瘍新生血管傷害療法 / 膵がん治療 / 同所移植モデル / 標的化リポソーム / 抗がん剤 / ペプチド |
Research Abstract |
難治がんである膵がんの克服を目標とし,これまでにないアプローチとして腫瘍新生血管傷害療法の応用に関する基礎研究を実施した.本研究のターゲットであるがんの血管新生という現象は,周囲の環境の影響を強く受けるため,実験モデルにおいては移植する箇所によってその性状が大きく異なることが知られている.そこで,まずヒト膵がんの特性を反映した実験系を構築することを目的とし,膵がん同所移植マウスの作成から着手した.具体的には,ヒト膵がん細胞SUIT-2をヌードマウスの膵尾部に移植し,適度に成長した固形がんを摘出して組織切片を作成した後,免疫組織化学染色によって血管の数や大きさを評価した.対照としてはSUIT-2細胞をヌードマウス皮下に移植したモデルを用いた.その結果,本研究の趣旨に合致した乏血管性の膵がん同所移植モデルの作成に成功した.次に,腫瘍新生血管特異的ペプチド(Ala-Pro-Arg-Pro-Gly;APRPG)をPEG鎖の先端に提示し,ドキソルビシン(DOX)を包含した粒子径約150nmのDOX封入APRPG-PEG修飾リポソームを調製し,その治療効果を同所移植モデルにおいて検討した.その結果,DOX封入APRPG-PEG修飾リポソーム投与群では,対照のDOX封入PEG修飾リポソーム投与群と比較して高い治療効果が得られた.この結果から本来リポソームにとって障壁となる新生血管密度が低いという特徴を上手く利用することにより,効果的な治療法に繋がる可能性があることが示唆された.現在,DOX封入APRPG-PEG修飾リポソームの作用機構を明確にすることを目的とし,リポソームの体内動態,組織内分布の解析等を実施中である.
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