2005 Fiscal Year Annual Research Report
麻薬性鎮痛薬の適正使用を指向した生体内動態と鎮痛作用の統合的研究
Project/Area Number |
17790131
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
黄倉 崇 帝京大学, 薬学部, 助手 (80326123)
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Keywords | オキシコドン / 血液脳関門 / トランスポーター |
Research Abstract |
麻薬性鎮痛薬のオキシコドンは、脳内μオピオイド受容体に結合して鎮痛作用を発揮し、がん疼痛緩和治療に広く用いられている。オキシコドンの脳移行はその薬効発現の重要なステップとなる。オキシコドンは生理的条件下でカチオンおよび両性イオンとして存在するため、その脳移行は単純拡散のみでは説明できない。本研究では、BBBにおいてオキシコドンの取り込み輸送機構が働いていると仮定し、そのBBB輸送および輸送分子を明らかにすることを目的とした。In vitro BBBモデル細胞である条件的不死化ラット脳毛細血管内皮細胞株(TR-BBB)へのオキシコドンの取り込みは、濃度依存性、エネルギー依存性およびpH依存性を示した。さらに阻害実験を行ったところ、オキシコドン取り込みはカチオン性薬物であるピリラミンにより競合的に阻害されることが示された。そこでオキシコドンのBBB輸送分子として有機カチオントランスポーターに着目し、その遺伝子発現を解析した。その結果、TR-BBBにおいてrOCTN1およびrOCTN2のmRNA発現が確認され、その発現量はrOCTN2で最も高値を示した。しかし、オキシコドンの取り込みは、OCTN1の選択的基質であるエルゴチオネイン(1mM)およびOCTN2の選択的基質であるL-カルニチン(1mM)では阻害されず、rOCTN1およびrOCTN2発現系を用いた結果からもオキシコドンがこれらトランスポーターに輸送されるエビデンスは得られなかった。以上の結果から、オキシコドンはBBBにおいてピリラミン感受性のトランスポーターを介してpH依存的かつ能動的に輸送されることが示された。その輸送にはOCTN以外のトランスポーターが関与する可能性が示唆された。
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