2006 Fiscal Year Annual Research Report
麻薬性鎮痛薬の適正使用を指向した生体内動態と鎮痛作用の統合的研究
Project/Area Number |
17790131
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
黄倉 崇 帝京大学, 薬学部, 助手 (80326123)
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Keywords | オキシコドン / 血液脳関門 / トランスポーター / 鎮痛補助薬 |
Research Abstract |
麻薬性鎮痛薬のオキシコドンは血液側から脳側へと積極的に輸送されることが推察されている。この血液脳関門(BBB)における特徴的な輸送機構の解明のため、in vitro BBBモデル細胞である条件的不死化ラット脳毛細血管内皮細胞株(TR-BBB)を用いて解析した。その結果、オキシコドンのBBB輸送にピリラミンなどの有機カチオン感受性のトランスポーターが関与することが示された。さらにその輸送は代謝エネルギー依存的かつプロトン交換輸送系であることが示唆された。輸送分子同定のためOCT1-3,0CTN1-2,MATE1,PMAT, CTL1の発現解析を行ったが、これら既知カチオントランスポーターのオキシコドンのBBB輸送への関与は否定され、未知のトランスポーターがその輸送に関わることが示唆された。ラットin situ脳灌流法による解析から、オキシコドンのBBB透過には、pH依存的かつピリラミン感受性のトランスポーターが関与しており、in vitro BBB細胞でみられた輸送機構がin vivoでも機能していることが示唆された。 次に、オキシコドンと鎮痛補助薬のBBB輸送過程を含めた薬物動態並びに鎮痛作用における相互作用について解析した。鎮痛補助薬のうち抗うつ薬、抗不整脈薬、NMDA受容体拮抗薬は、高濃度でオキシコドンのBBB輸送に影響を与える可能性が示唆された。しかし、オキシコドン単独投与の場合と比較しオキシコドンとアミトリプチリンの同時投与では、オキシコドンの体内動態は変化せず、tai1-flick法により測定した鎮痛作用は増強された。このことから、薬効用量でのオキシコドンと鎮痛補助薬の薬物動態学的相互作用が生じる可能性は低いと考えられた。 本研究結果は、麻薬性鎮痛薬の適正使用法確立のため、有用な知見を与えるものと考えられる。
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