2005 Fiscal Year Annual Research Report
多価不飽和脂肪酸によるマイクロドメイン形成と消化管薬物吸収促進作用との関連性
Project/Area Number |
17790133
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
大貫 義則 星薬科大学, 薬学部, 助手 (10350224)
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Keywords | 多価不飽和脂肪酸 / マイクロドメイン / ドコサヘキサエン酸 / エイコサペンタエン酸 / 脂質二重膜モデル / リポソーム / 膜流動性 / ordered lipid domains |
Research Abstract |
ドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸のような多価不飽和脂肪酸は、様々な生理活性作用を有する機能性脂質として知られている。近年、こうした多価不飽和脂肪酸が脂質二重膜中に存在することで、細胞膜上のシグナル伝達に深く関与するマイクロドメインの形成が促進される可能性が報告されている。このようなマイクロドメイン形成促進は、経口摂取などにより多価不飽和脂肪酸が外来から細胞膜に取り込まれた場合でも引き起こされると考えられる。そこで本研究では、脂質二重膜モデルであるリポソームに、様々な脂肪酸を取り込ませたときのordered lipid domains量及び膜流動性の変化を評価し、上記の仮説の妥当性について検討した。実験としては、リン脂質およびコレステロールの組成を任意に調節したリポソームに、脂肪酸懸濁液を加え、インキュベーションを行い、リポソーム膜に脂肪酸を取り込ませた。その後、Triton X-100溶液を添加し、膜流動性が増大している膜画分を可溶化してordered lipid domainsを分取し、これを定量した。また、膜流動性を評価するため、リポソーム膜中に標識した蛍光プローブの蛍光異方性を測定した。結果より、多価不飽和脂肪酸適用群では、ordered lipid domains量は膜中のコレステロール含量の増大によって著しく増加した。また、多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸のオレイン酸とでは脂質二重膜への作用様式が異なる傾向が認められた。コレステロールはマイクロドメインの主要な構成成分であり、適用した多価不飽和脂肪酸の作用は膜中のコレステロールに大きく影響を受けることから、外来より取り込まれる多価不飽和脂肪酸によっても、マイクロドメインの形成が促進される可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)