2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死抑制因子ヒューマニンの拮抗誘導体による癌治療の可能性
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17790145
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
名和 幹朗 慶應義塾大学, 医学部, 嘱託(非常勤) (10398620)
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Keywords | ヒューマニン(HN) / HN拮抗誘導体 / マウスHN相同分子 / 新規癌治療法 |
Research Abstract |
本研究の目的はヒューマニン(HN)と細胞癌化との直接的な証明と、HN拮抗誘導体による癌治療の可能性の検証が目的である。本年度は、HNあるいはHN類似分子発現性癌細胞株の探索と、マウスHN相同分子同定を行った。 (1)癌細胞株におけるHNあるいはHN類似分子の発現確認 申請者らは,ヒト癌細胞株(U2OS、Saos-2、Caco-2、SF268)の細胞溶解液を用い、、ウエスタンブロット法により癌細胞株におけるHNあるいはHN類似分子の発現を検討した。その結果、U2OS細胞では、約10kDaと約40kDaの抗HN抗体によって免疫沈降されるタンパク質を確認した。しかし、いずれの細胞株においてもHNペプチドと同サイズのタンパク質のバンドは検出されなかった。現在、更に多くの癌細胞株においてHNあるいはHN類似分子の発現確認を行うとともに、U2OS細胞で確認された約10kDaと約40kDaのタンパク質のHN受容体との結合性の確認と、それらの分子の同定をMALDI/TOFMSにより試みている。 (2)マウスHN相同分子同定 生体内でのHNの機能解明と、癌との関係を明らかとするために、マウスHNの同定をマウス脳、精巣、脾臓由来のCAP構造をもつmRNAより作成したcDNAライブラリーのスクリーニングと、マウス精巣中の抗HN抗体陽性タンパク質の解析により試みた。ファージライブラリースクリーニングは、HNcDNAあるいはラットHNホモログcDNAをプローブとして行い、多数の陽性クローンを得たが、大多数がHN様塩基配列を含むミトコンドリア遺伝子であった。それら陽性クローンの塩基配列を解析した結果、開始コドンを有さないためHNペプチドをコードしない可能性が高いと考えられた。また、申請者らは12週齢マウス精巣において約4kDaの抗HN抗体陽性バンドをウエスタンブロット法により確認した。今後、このマウス精巣中の抗HN抗体陽性タンパク質の同定を、アミノ酸配列解析、MALDI/TOFMSにより行う予定である。
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