2006 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル伝達制御因子APCによる細胞形態の調節機構の解明
Project/Area Number |
17790146
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
下村 敦司 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (50340237)
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Keywords | APC / PSD-95 / 微小管 / EBF3-S / 細胞形態 / 束化 |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子APC (adenomatous polyposis coli)は、細胞骨格である微小管に結合するタンパク質であり、主に腸管上皮細胞及び神経細胞における細胞骨格形成に関与している。実際、APCは微小管を束化する活性を有していることが明らかになっており、APCはこの活性を利用して細胞骨格の形態変化を引き起こす。また、APCはMAGUK(membrane-associated guanylate kinase)ファミリータンパク質であるhDlg (human Discs large)やPSD(post synaptic density)-95と、C末端を介して結合することが明らかになっている。平成17年度に、APCの有する微小管の束化活性が、PSD-95との結合により促進されることを明らかにし(この結果は、本年度国際雑誌Neuroscience Lettersに掲載された)、これは、実際生体内において、APCとPSD-95との相互作用が細胞の形態変化を引き起こすことを示唆する。本年度は研究計画に従い、PSD-95との結合によるAPCの微小管束化活性促進のメカニズムを明らかにする目的で、マウス脳においてAPCに結合する因子の同定を行った。方法としては、APCの各ドメインをbaitとして用い、pull down法さらに液体クロマトグラフィー/質量分析によってその結合因子の同定を行った。その結果、APCとPSD-95との結合領域が存在するC末領域に、EBF3-Sという因子が結合することが明らかとなった。EBF3-Sについては、脳特異的に発現しているタンパク質である。またEBF3-Sは微小管に結合するタンパク質であることから、APCとPSD-95による微小管の束化活性促進のメカニズムに何らか関与しているかもしれない。また現在、APCの他の部位に結合する因子の同定を順次行っている状況である。
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