2005 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成における低分子量Gタンパク質、Rho familyの役割
Project/Area Number |
17790148
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
福山 亮 広島国際大学, 薬学部, 助手 (20389117)
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Keywords | 骨代謝学 / 歯学 / 発生・分化 |
Research Abstract |
骨芽細胞内のRho familyの機能が骨代謝環境にどのように反映されるかを解明するため、pro1α1コラーゲンプロモーターを用いて、Rho familyに属するRac1のdominant negative体を骨芽細胞特異的に発現するトランスジェニック(N17RacTg)マウスを作製し、骨組織への影響を検討した。 骨塩量・骨密度の測定 N17RacTgマウスの各週齢の軟X線像の撮影において、4週齢では野生型(Wt)マウスと比較して、骨塩量に変化を認めなかったが、週齢を経るに伴い、骨塩量は顕著に減少を示した。さらに、pQCT骨密度測定装置を用いて10週齢Tgマウスの大腿骨の形態学的変化を測定した。その結果、皮質骨および海綿骨ともに骨密度の減少が認められた。 組織学的解析 Racの機能阻害における生体内での骨代謝関連細胞に対する影響を検討するため、骨形態計測法を用いて10週齢Tgマウスの骨代謝解析を行った。Tgマウスの骨形成パラメーターはWtマウスに比べ増加しており、一方で骨吸収パラメーターは減少していた。 骨芽細胞分化マーカーの解析 骨芽細胞の分布および分化状態を検討するため、in situハイブリダイゼーション法およびノザンブロット法を用いて、骨芽細胞の分化マーカーであるRunx2、Type I collagen、osteopontinおよびosteocalcinの発現を解析した。Wtマウスに比して、Tgマウスの各分化段階にある骨芽細胞の分布に変化はないが、すべての骨芽細胞分化マーカーに強い発現を認めた。 以上の結果より、骨芽細胞内のRacの機能阻害により、骨量が減少することが示された。しかしながら、骨代謝への影響を検討したところ、骨芽細胞の骨形成機能および分化状態は増加しており、一見矛盾する結果が得られている。この原因について、次年度以降さらに検討を行う予定である。
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