2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成における低分子量Gタンパク質、Rho familyの役割
Project/Area Number |
17790148
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
福山 亮 広島国際大学, 薬学部, 助手 (20389117)
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Keywords | 骨代謝学 / 歯学 / 発生・分化 |
Research Abstract |
低分子量Gタンパク質、Rac1のドミナントネガティブ体(N17Rac)を骨芽細胞特異的に強発現させたトランスジェニック(Tg)マウスの解析 (1)骨芽細胞による破骨細胞分化制御の解析 骨芽細胞により発現される破骨細胞分化制御因子のRANKL(receptor activator of nuclear factor-kappaB ligand)とOPG(osteoprotegerin)のmRNA発現量をRT-PCR法について測定した。結果、TgマウスではWtマウスに比べ、RANKL発現量が上昇傾向にあり、OPG発現量が有意に増加していた。 (2)骨芽細胞の走化性への影響 骨芽細胞内のRac1機能阻害による走化性への影響を検討するため、細胞の集積と走化性が必要とされるモデルとして、10週齢Tgマウスに骨折術を施し、骨折治癒能への影響を検討した。結果、術後3週目にWtに認められる仮骨形成がn17RacTgマウスでは遅延しており、骨融合も認められず、骨芽細胞の骨組織治癒能の低下が示唆された。 (3)歯の組織学的解析 N17RacTgマウスの歯芽破折の原因を研明すべく、4週齢Tgマウスの歯のパラフィン切片を作製し、ヘマトキシリン-エオジン染色を行い、組織学的検討を行った。通常Wtマウスでは歯の前象牙質層および象牙質層認められるが、Tgマウスでは、明瞭な前象牙質、象牙質層が認められず、未成熟な細胞が点在していた。 以上、本Tgマウスの骨量減少の原因として、骨芽細胞のRacの機能を制御することにより、骨芽細胞の走化性と破骨細胞機能が影響を受けることが一つの可能性として示唆された。また、N17RacTgマウス作製にType I collagen promoterを用いている。Type I collagenは象牙芽細胞においても発現するため、象牙芽細胞のRac1の機能が抑制された結果、象牙形成不全となり、歯芽破折を生じたと考えられた。
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