2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞容積調節機構に関わる非選択性カチオンチャネルの分子同定と細胞死への役割
Project/Area Number |
17790156
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
清水 貴浩 生理学研究所, 細胞器官研究系, 助手 (40353437)
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Keywords | イオンチャネル / 細胞容積 / カチオン / RVD |
Research Abstract |
細胞容積調節機構は、細胞が生存するために必要不可欠な機能である。Ca^<2+>透過性非選択性カチオンチャネルは、これまでに細胞膨張後の調節性容積減少(Regulatory Volume decrease : RVD)の初期過程に重要であることが明らかとなっているが、そのチャネルの性質についてはほとんど知られていなかった。それ故に本研究で電気生理学的に検討したところ、ヒト子宮頸部上皮HeLa細胞に膜伸展や細胞膨張により活性化されるCa^<2+>透過性非選択性カチオンチャネルを見いだした。またこのチャネルはMg^<2+>も透過する一方で、細胞内外のMg^<2+>により抑制される特異なチャネルであることが明らかとなった。薬理学的には膜伸展により活性化されるカチオンチャネルの阻害剤と言われているGd^<3+>、あるいは非選択性カチオンチャネルファミリーであるTransient Receptor Potential(TRP)チャネルの阻害剤であるSKF96365およびruthenium redに感受性であった。さらにコールターカウンター法を用いて、これら阻害剤がRVDを抑制することを明らかにした。これらの結果からTRPチャネルが分子候補であることが示唆されたので、RT-PCR法でmRNAを確認したところ、TRPM7が候補分子であることが示唆された。この可能性を検討するために、RNAi法を用いた。siRNAによるTRPM7発現抑制細胞において、これら膜伸展および細胞膨張により活性化されるカチオン電流は消失し、RVDも抑制された。それ故に、TRPM7チャネルがRVDに関わるCa^<2+>透過性カチオンチャネル分子であることが明らかとなった。 またこれまでにこのチャネルが、ある種の細胞死に関与することも明らかにしている。この詳細な検討を次年度に行いたい。
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