2005 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞の小型化におけるp38MAPKの関与-変異ノックインマウスを用いた検討-
Project/Area Number |
17790160
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
藤川 隆彦 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60293776)
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Keywords | p38αsemノックインマウス / 脂肪重量の低下 / 脂肪細胞の小型化 / 低体重 |
Research Abstract |
脂肪細胞の代謝制御におけるp38αMAPキナーゼ(MAPK)の役割について、生体レベルで解析する目的で、p38αにsem型の点突然変異を導入したマウス(p38a^<sem>ノックインマウス)を作成した。p38α^<sem>マウスはp38αの部分的な機能欠損を生じ、興味深いことにsem型マウスは野生型マウスの20%の成長障害を生じた。体重における性差の比較では、雌マウスよりも雄マウスの方が顕著であることを認めた。sem型マウスが2年齢に達すると野生型マウスの26%の体重低下を示した。その時の組織重量を野生型マウスと比較したところ、sem型マウスの体重当たりの精巣、腎臓、腸管周囲の脂肪重量が60%以上の低下、及び脂肪細胞の小型化を示した。これは、MAPKがマウスの成長に関わることを示すとともに、脂肪代謝に深く関わっていることを示唆している。高脂肪食を与えたsem型マウスの体重当たりの精巣、腎臓、腸管周囲の脂肪重量は、普通食を与えたsem型マウスとほとんど変わらなかった。また、sem型マウスの脂肪組織では,糖新生系が抑制される一方,肝臓での脂肪酸β酸化の促進に伴って脂肪酸を積極的に消費していることが示唆された。HFD負荷を行ったsem型マウスでは,脂質代謝系が活性化し,脂肪組織における脂肪酸産生も促進されていた。HFD負荷を行うとアディポネクチンの分泌が高まり,インスリン感受性低下の抑制に関与していると考えられた。また,脂肪細胞分化に関わる転写因子のmRNA発現量が増加しており,脂肪細胞分化機構の制御,アポトーシスによる脂肪細胞小型化が考えられた。
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