2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性細小血管障害におけるアディポサイトカインの関与
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17790175
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
松本 貴之 星薬科大学, 薬学部, 助手 (30366835)
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Keywords | 糖尿病 / 血管内皮細胞 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
1)a.STZ糖尿病ラット腸間膜動脈において、細小血管に重要である内皮細胞由来過分極因子の作用の減弱が生じるが、ホスホジエステラーゼ3阻害薬(シロスタゾール)の慢性投与は、protein kinase A活性(触媒・調節subunit protein発現の改善による)を改善し、この弛緩反応を改善した。b.STZ糖尿病ラット腸間膜動脈において、アデニレートシクラーゼ(AC)を介する弛緩反応の減弱を見いだし、この減弱には、AC5/6の活性低下、タンパク、mRNA発現低下によることを見いだした。2)a.胸部大動脈血管内皮細胞において、糖尿病発症後10週間経過した動物に対するインスリン慢性投与は、糖尿病時に変化していた遺伝子43個の中で20個のmRNA遺伝子発現を正常化し、残りの23遺伝子の内12個の遺伝子は、インスリン濃度によって変化するインスリン感受性遺伝子であった。これより、この12個の遺伝子は、血中グルコース値(STZ-誘発性高血糖)や血中インスリン値(慢性的なインスリン処置)によって制御されている可能性を示す。これらより、高血糖値と高インスリン値は共に、糖尿病性血管合併症の発展に重要であることを示唆した。b.糖尿病ラット摘出大動脈血管の器官培養法により、インスリンやIGF-1処置は、収縮性増加を生じる。この作用機序として、内皮細胞からの持続的なTXA_2産生増加が関与していることを見いだした。更に、この影響は、糖尿病に観察されるIGF-1受容体の発現増加が関与していることを示唆した。我々の実験結果は、糖尿病などによって生じるインスリン値の上昇による血管合併症において、TXA_2阻害薬の投与が有効である可能性を強く示唆する。以上1)ab、2)abの研究結果より、糖尿病性細小血管障害に対して、シロルタゾールが有効である可能性を明らかとし、糖尿病時(高血糖、高インスリン)の血管においては、いくつかの遺伝子発現の異常が認められ、この発現異常によって、血管内皮細胞機能異常、血管内皮依存性の収縮異常が生じることを明らかにした。
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