2005 Fiscal Year Annual Research Report
NoncodingRNAによるプロスタグランジン合成酵素の発現制御機構の解析
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17790177
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
奈良場 博昭 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (90296517)
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Keywords | microRNA / プロスタグランジン / シクロオキシゲナーゼ / noncoding RNA / 炎症性疾患 / マクロファージ / エンドトキシン / マイクロアレイ |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)は多彩な生理活性を有し、様々な病態に関与する。このPGの産生にはシクロオキシゲナーゼが重要な役割を果たし、特に炎症性の誘導作用を有するCOX-2は様々な病態と密接に関わる。一方、microRNAは20塩基程度の低分子量のRNAであるが、線虫から高等動物に至るまで高度に保存され、標的mRNAの蛋白質への翻訳阻害を介して生命現象の根幹に関わることが明らかになりつつある。申請者は、このCOX-2の発現調節にmicroRNAが関わる可能性を検証した。 炎症性細胞であるマクロファージ系細胞株において発現するmicroRNAについてマイクロアレイやRT-PCR法を用いて網羅的に解析した。更に、炎症性刺激であるエンドトキシンの暴露により、マクロファージを活性化させ、刺激により発現量が変動するmicroRNAを同定した。これらの情報から発現量が変化するmicroRNAの候補を選出し、定量的な発現変動をNorthern blot法にて解析した。この結果、約10種類のエンドトキシン感受性microRNAを同定した。 この候補に関して幾つかの標的予測プログラムを用いて、プロスタグランジン合成酵素群や関連分子を標的とするmicroRNAの検索を行った。その結果、特定のmicroRNAが、前述のCOX-2を抑制的に制御する可能性が推定された。両者の発現変動や薬剤感受性を詳細に比較した結果から、両者の発現に逆相関が認められ、このことは両者の密接な関係を示唆するものと推定された。 今後、特定のmicroRNAの発現系の構築やCOX-2の3'-UTR(microRNA認識部位)を含めたクローニングを行い、そのレポーターアッセイなどを通して、両者の関係を明確にしていく予定である。また、特定のmicroRNAがプロスタグランジンの産生制御を介して生体防御や各種炎症性病態に関与する可能性に関しても解析を行う予定である。
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