2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管障害性疾患に対する新規なリスク分子・標的治療分子の探索研究
Project/Area Number |
17790207
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岡本 貴行 三重大学, 大学院医学系研究科, 助手 (30378286)
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Keywords | ファージディスプレイ法 / 血管内皮細胞 / 血液凝固 / 炎症性血管病変 / ギャップ結合 |
Research Abstract |
・研究の背景 血管障害性疾患の多くは、血液凝固反応、炎症反応が慢性的に活性化した炎症性血管病変を基盤とする。そのため、新しい血管障害性疾患の診断・治療法の開発には、血管内皮細胞に対して抗血栓性、抗炎症性作用を示す生理活性ペプチドの探索とその作用機序の解明が有効であると考えられる。これまで私は、ファージディスプレイ法を用いて血管内皮細胞に結合するペプチドの探索に成功している。本研究は、このペプチドが血管内皮細胞に及ぼす作用およびペプチドが結合する細胞側受容体分子の解明を行う。 ・研究目的 血管内皮細胞に結合するペプチドの細胞側受容体分子の同定とこの受容体の生理機能を解析し、血液凝固反応、炎症反応に与える影響を解析する。さらに、同定したペプチドや受容体を標的とした血管障害性疾患の診断法・治療法・予防法の開発へ応用することを目的とする。これまでの研究成果に基づき、最終報告を提出する。 ・研究成果 これまでに同定したペプチドのアミノ酸配列を解析した結果、このペプチドはギャップ結合を構成するコネキシン32(connexin32:Cx32)と相同性を有していた。ペプチドが血管内皮細胞に発現するCx32と結合していると考え、血管内皮細胞にCx32が発現すること、ペプチドとCx32が結合すること、血管内皮細胞間の相互作用にCx32が関わることを明らかにした。しかし、血管内皮細胞でのCx32の機能は全く知られておらず、私は、炎症性サイトカイン刺激によりCx32の発現量が減少すること、Cx32強制発現細胞では炎症性サイトカインの分泌が低下することを示し、Cx32によるギャップ結合が血管内皮細胞の機能維持に重要な役割を持つことを示した。
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Research Products
(4 results)