2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規接着分子ネクチンとインテグリンとの協調作用による細胞間接着の形成機構
Project/Area Number |
17790209
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
扇田 久和 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50379236)
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Keywords | ネクチン / インテグリン / カドヘリン / クローディン / アドヘレンスジャンクション / タイトジャンクション |
Research Abstract |
細胞-細胞外基質間接着と細胞間接着のクロストークから細胞間接着が形成される分子機構を解明する目的で、細胞-細胞外基質間の接着分子インテグリンが、当研究室で見出された新規細胞間接着分子ネクチンとどのように相互作用して、両分子が細胞間接着の形成に関与しているかを解析した。さらに、細胞間接着分子カドヘリンがネクチンによる細胞間接着部位にリクルートされて、アドヘレンスジャンクションを形成する際に、インテグリンがどのように関与しているかについても検討し、本年度は、以下のような知見を得た。 1.ネクチンとインテグリンとの協調作用の分子機構 ネクチンはインテグリンαvβ3と機能的にも物理的にも相互作用することを見出した。ネクチンによる初期の細胞間接着部位において、インテグリンαvβ3は活性化された状態でネクチンと共局在した。さらに、細胞間接着が完成するにつれて、このインテグリンαvβ3は不活性化された。また、ネクチンによるCdc42やRacの活性化には、インテグリンαvβ3が活性化されていることが必要であった(論文投稿中)。 2.ネクチンによるカドヘリンのリクルートおよびアドヘレンスジャンクション形成におけるインテグリンの作用機序 ネクチン結合部位へのカドヘリンのリクルートには、ネクチンによるCdc42、Racの活性化を介したアクチン細胞骨格の再編成が重要な役割を果たしており、この過程においてインテグリンαvβ3の活性化が必要であった。さらに、ネクチンによる細胞間接着部位にリクルートされたカドヘリンは、それ自身同士が結合してアドヘレンスジャンクションを形成するとともに、このカドヘリン同士の結合によりRacが活性化された(Oncogene,2006)。活性化されたRacはカドヘリンがエンドサイトーシスの機構により細胞内に取り込まれるのを防止し、アドヘレンスジャンクションを安定して維持するのに寄与していると考えられる。
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