2005 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンシグナル伝達における低分子量GTP結合蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
17790210
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 修司 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (50379400)
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Keywords | インスリン / Rac / グアニンヌクレオチド交換因子 |
Research Abstract |
インスリンによる筋組織の糖取り込みには、糖輸送担体GLUT4の細胞膜移行が重要である。この系には、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)を介したAktの活性化とアクチン細胞骨格の再編成が関与する事が知られている。そこで我々は,GLUT4の細胞膜移行におけるRhoファミリー低分子量GTP結合タンパク質の役割とその活性調節機構を検討した。 GLUT4の細胞外ループにタグ配列を挿入したGFP-GLUT4-Mycを安定発現するL6筋芽細胞株を作成し、この細胞に様々なRhoファミリーの常時活性型変異体を過剰発現させて、GLUT4の細胞膜移行を比較したところ、活性型Rac1が最も顕著にGLUT4の細胞膜移行を促進した。RNA干渉法によりRac1の発現を抑制したところ、インスリン依存的なGLUT4の移行が抑えられた。これらの結果より、GLUT4の移行にはRac1が重要である事が強く示唆された。次に、インスリンの下流でRac1を活性化する分子機構を調べるため、様々な活性化因子を過剰発現させ、GLUT4の細胞膜移行を検討したところ、機能未知なグアニンヌクレオチド交換因子であるFLJ00068が同定された。次に、活性型Rac1の過剰発現によるAktの活性化を調べたところ、Aktの活性化に関わる308番目のスレオニンと473番目のセリンのリン酸化は亢進されていなかった。PI3K阻害剤を用いてAktの活性を完全に抑制し、その機能を阻害したところ、活性型Rac1によるGLUT4の細胞膜移行の促進は抑制された。従って、活性型Rac1によるGLUT4の移行には、Aktの弱い活性化で十分であり、Aktの強い活性化は必要ないと考えられる。
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