2006 Fiscal Year Annual Research Report
Ror2受容体型チロシンキナーゼによる細胞運動の制御機構
Project/Area Number |
17790211
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西田 満 神戸大学, 医学系研究科, 助手 (30379359)
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Keywords | Ror / Wnt / Dvl / リン酸化 |
Research Abstract |
Wnt5aシグナル伝達系におけるRor2の役割を調べるため、Ror2を発現していないL細胞とRor2を発現しているNIH3T3細胞を用い、それらのWnt5aに対する応答性を比較した。Wntシグナルの活性化は細胞内シグナル伝達因子Dvlのリン酸化を誘導するため、Wnt5aに対する応答性はDvlのリン酸化を検出することによって評価した。解析の結果、NIH3T3細胞ではWnt5a刺激によってDvlがリン酸化されるのに対し、L細胞ではRor2の強制発現依存的にDvlがリン酸化された。したがって、Ror2の発現がWnt5aによるDvlのリン酸化に重要な役割を果たしていることが示唆された。次にRor2遺伝子欠損マウス胚(Ror2-/-)および野生型マウス胚(Ror2+/+)より単離した胚性線維芽細胞(MEF)を用いてWnt5a刺激によるDvlのリン酸化動態の解析を行った。その結果、Ror2+/+MEFにおいてはWnt5a刺激依存的にDvlのリン酸化が認められたのに対し、Ror2-/-MEFにおいてはそのリン酸化は認められなかった。したがってRor2はWnt5aによるDvlのリン酸化に必要であることが明らかになった。Dvlのリン酸化はWnt5aのほか、異なるタイプのWntであるWnt3aなどによっても引き起こされることが知られている。そこでWnt3aを用いて同様の解析を行った結果、Ror2+/+MEFとRor2-/-MEFにおいてWnt3a刺激によるDvlのリン酸化が同様に検出された。したがって、Ror2はWnt3aによるDvlのリン酸化には必要ではないことが明らかとなった。本研究からRor2はWnt5a特異的なDvlリン酸化制御を担っていることが明らかになった。
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