2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規膜結合型線毛特異的セリンプロテアーゼのインフルエンザウイルス活性化と生理機能
Project/Area Number |
17790213
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
奥村 裕司 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (70294725)
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Keywords | 膜結合型酵素 / ウイルス / インフルエンザ |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスが感染性を獲得するためには、気道に局在する宿主側のタンパク質分解酵素(トリプシン型プロテアーゼ)によるウイルス外膜糖タンパク質(ヘマグルチニン:HA)の限定分解が必須である。これまでに我々は、このインフルエンザウイルスの活性化酵素として、トリプターゼクララ、ミニプラスミンや異所性アニオニックトリプシンといった酵素を同定・報告してきたが、これらの酵素は気道において異なった局在を示すとともに、ウイルスのサブタイプ(亜型)によって親和性が大きく異なるため、生体内にはウイルスの亜型に対応した複数の酵素が存在することが示唆された。そのため、これまで不明であった上気道のウイルス活性化酵素の探索を進めた結果、上気道に高発現する新規膜結合型酵素(Serase-1)を同定した。本年度はまず、この酵素の酵素学的性状の詳細な把握を行い、その上でインフルエンザウイルスの感染性への関与について検討した。Serase-1は、不活性型前駆体として合成され、トリプシンもしくは他のトリプシン型プロテアーゼによって活性化される酵素であり、生理基質の一つとしてウロキナーゼ前駆体を活性化し、活性化したウロキナーゼはプラスミノーゲンをプラスミンに活性化することが明らかとなった。また、培養細胞を用いたウイルス感染価の測定から、この一連の酵素反応によってインフルエンザウイルスが活性化されることが証明された。更に、Serase-1によるウロキナーゼ前駆体の活性化は、生体内インヒビターである粘液プロテアーゼインヒビターや、上気道中の粘液相の成分でもあるヒアルロン酸によって阻害され、これらの感染防御因子としての可能性が示唆された。現在は、ウイルス感染増殖様式との関係を更に明確にするため、Serase-1発現細胞を用いた解析及び実験準備が整ったSerase-1遺伝子改変動物を用いた解析を試みている。
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Research Products
(2 results)