2005 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息の発症と病態における新規マーカー分子の役割
Project/Area Number |
17790216
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
早川 盛禎 自治医科大学, 医学部, 講師 (30326847)
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Keywords | 喘息 / アレルギー / サイトカイン / ST2 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
気管支喘息の発症機序や重症化は、複雑なために未解明の部分が多い。本研究では、喘息患者血清中に多量に産生されることが見出された分泌型ST2が、喘息病態にどのように関与するのかを、野生型(Wt)と分泌型ST2過剰発現トランスジェニック(Tg)マウスを用いて明らかにする。 BALB/c系統のWtまたはTgマウスに卵白アルブミン(OVA)を感作・吸入させ喘息モデルを作製し、喘息惹起後の分泌型ST2とTh2サイトカインの産生を、ELISA法とRT-PCR法により調べた。Wtマウスを用いた検討から、分泌型ST2は、主に胸腺、リンパ節、肺、脾臓で発現し、血清中に分泌されることが分かった。ST2 mRNAの発現には、Th2細胞特異的に機能する遠位プロモーター(Hayakawa et al.,2005)が使用されていた。系統26のTgマウスでは、喘息惹起後3、24時間の血清とBALF中のIL-5濃度が、Wtマウスよりも低値であった。系統23は、実験を継続中である。 Th2サイトカインを産生する末梢血細胞や脾臓細胞に対する分泌型ST2の作用と結合を、HEK293T細胞で発現させ精製した組換えタンパク質(mST2-FLAG)を用いて検討した。mST2-FLAG存在下では、OVA刺激後のIL-4、IL-5、IL-13産生が抑制された。FACS解析では、mST2-FLAGはリンパ球集団に含まれる細胞に結合することが分かった。分泌型ST2の細胞への結合は、リンパ球以外の細胞でも認められ、ヒト単球性白血病由来THP-1細胞において、分泌型ST2が細胞表面に結合し、LPS刺激後の炎症性サイトカイン産生を抑制することを報告した(Takezako et al.,2006)。 現在までの結果から、分泌型ST2は、喘息惹起後早期に血清中に分泌され、Th2サイトカインの産生を抑制する働きがあることが示唆された。
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Research Products
(2 results)