2005 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーによる細胞内変性タンパク質蓄積の抑制メカニズム
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17790222
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
久万 亜紀子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (30392377)
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Keywords | オートファジー / タンパク質凝集体 / 細胞内クリアランス |
Research Abstract |
申請者らは、オートファジー不能マウス(ATG5ノックアウトマウス)の解析過程で、肝および脳にユビキチン陽性のタンパク質凝集体が形成されることを見いだし、オートファジーによる細胞内タンパク質分解が凝集体形成抑制に働くのではないかという考えのもと解析を行った。まず、ノックアウトマウスにおいてタンパク質凝集体が蓄積する組織を網羅的に調べた。このノックアウトマウスはミルクを飲まず出生後1日で死亡するため、出生直後のマウスを解析に用いた。出生児の神経系(後根神経節・脊髄・中脳・橋)、肝、副腎、下垂体前葉においてユビキチン陽性の凝集体が高頻度に観察され、小脳、大脳皮質、骨格筋、膵、脾、腸では認められなかった。この凝集体は、タンパク質凝集体に一般的に認められるp62抗体で陽性であった。出生時にすでに凝集体が蓄積していることから、胎生期におけるオートファジーを詳しく調べたところ、胎生期では脳以外のほとんどすべての組織で低レベルながらも恒常的にオートファジーが起こっていることが分かった。凝集体蓄積の顕著な後根神経節や肝臓においては、胎生15.5日ですでに凝集体が認められた。これらの組織において、酸化タンパク質やユビキチン化タンパク質の増加、シャペロン分子の誘導、細胞死などを調べたが、これらについては新生児マウスでは野生型と差はなかった。神経系での凝集体蓄積が顕著であったことから、神経系の機能異常を疑い呼吸中枢の神経活動を調べたところ異常が認められた。胎生期において組織形成後数日間オートファジーが起らないだけでも凝集体が形成されることが明らかとなり、細胞内クリアランスにおけるオートファジーの重要性が示唆された。今後、凝集タンパク質成分の同定などの解析を行い、オートファジーによる凝集体形成抑制の機構を解析する。
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