2005 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロン調節因子6の機能解析と口蓋発生における役割
Project/Area Number |
17790225
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
近藤 新二 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 助手 (90398149)
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Keywords | IRF6 / 口蓋裂 / VWS / PPS |
Research Abstract |
インターフェロン調節因子6(IRF6)の機能を解明することを目的に研究を行い、本年度は下記結果を得た。 1、モデルマウスの作成と解析 IRF6欠損マウスを作成し解析を行っている。このマウスは形態的に皮膚・四肢・顔面の発生異常をきたす。特に皮膚の組織学的解析では変異マウスでは表皮の構造が破壊されており、基底層と肥厚した有棘層のみが存在することが分かった。BrdU, TUNELによる免疫染色で、これは細胞増殖の亢進およびアポトーシスの異常によることが示唆された。マイクロアレイを使用した解析では基底層でケラチン類をはじめとするいくつかの遺伝子の発現量が変化していることが分かった。四肢・骨格系の異常としては脊椎、胸骨は小さく骨化も遅い。また頭蓋も小さく顔面では口蓋裂をきたす。手足の指は欠損あるいは癒合するなどの異常がみられる。現在さらに詳細な解析を行っているところである。 2、転写活性化能の解析と結合因子の探索 (1)転写活性化能:ヒトVWS・PPSを実際におこす種々の変異を導入したクローンを細胞培養系に導入して転写活性に対する影響を調べたところ、正常に比べてすべての変異クローンで有意に転写活性化能が低下することが分かった。これは病気の発症メカニズムを考える上で重要な所見となる。 (2)結合因子:IRF6タンパクに結合する因子としてMaspinを同定した。Maspinは元々アポトーシスを促進し細胞の侵襲を抑制する腫瘍抑制遺伝子として知られていたが長らく機能は不明だった。今回の我々の発見は、IRF6のシグナル伝達経路の解明の第一歩となった。さらにそれ以外にもTAP法、イーストツーハイブリッド法などを用いて約10種類の結合候補タンパクを同定した。来年度以降これらの候補タンパクの検討を行っていく予定である。
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