2007 Fiscal Year Annual Research Report
疾患関連ミスセンス変異によるタンパク質安定性の喪失
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17790226
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢口 浩子 Kyoto University, 医学研究科, 研究員 (60373403)
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Keywords | ミスセンス変異 / MEN1 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
多内分泌腺腫瘍症1型(MEN1)の原因遺伝子MEN1は癌抑制遺伝子であり、これまでにMEN1患者において、停止コドンを生じるナンセンス変異だけではなく、1アミノ酸置換のみを生じるミスセンス変異が多数報告されている。我々は、MEN1疾患関連ミスセンス変異をもつMEN1遺伝子産物meninが、ユビキチンプロテアソーム系で速やかに分解されることにより、機能喪失へと至ることをこれまでに見いだした。そこで、疾患関連ミスセンス変異によるタンパク質安定性の喪失のメカニズムを明らかにすることを目的として、疾患関連ミスセンス変異をもつmeninをもちいて、変異タンパク質安定性に関与する新規因子の同定を行った。FLAG-tagをつけたmeninの変異型タンパクを、HEK293T細胞に発現させ、免疫沈降法を用いて変異型タンパク質に特異的に結合するような因子の探索をMALDITOF-MSによる解析により試みた。heat shock proteins、またheat shock proteins関連分子との特異的な結合が確認されたが、新規因子の同定には至らなかった。この結果は疾病関連変異型タンパク質が、アミノ酸置換により構造が変化することで不安定になり、ユビキチンプロテアソーム系で検出・処理されていることを示唆している。また自己免疫疾患に関連するミスセンス変異について、変異タンパク質の安定性を検討したところ、野生型のタンパク質と安定性の差を示さない、という結果が得られ、この変異により、このタンパク質の機能そのものを阻害していることが示唆される。このように、疾病関連ミスセンス変異により生じる事象は、主に、安定性の喪失と、機能の喪失の二つに分類されることがわかる。以上より、疾患関連のミスセンス変異が得られた際は、まず、タンパク質安定性の喪失を検討することが、迅速なタンパク質の機能同定につながることが提示された。
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