2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子とセルアレイを用いたハイスループット細胞内物質解析システムの開発
Project/Area Number |
17790236
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
近藤 智子 (古屋 智子) 山口大学, 医学部, 助手 (30379979)
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Keywords | 量子ドット / セルアレイ / サイトミクス |
Research Abstract |
医学、生物学的分野における研究技術の開発は目覚しいものがあるが、その中で近年半導体ナノ粒子(量子ドット)に注目が集まっている。この量子ドットは(1)強い蛍光強度、(2)著しい光安定性、(3)粒子径を変化させることで、同一(紫外線)励起波長で様々な蛍光を発することができるなどの従来の蛍光色素にない特徴を有しているため、より多くの細胞内物質に関する情報を得る新たな蛍光プローブとして期待されている。 本研究は量子ドットと当教室が開発した細胞レベルでのハイスループット技術である「セルアレイ」と組み合わせることでよりハイスループット性の高い細胞内物質解析技術の確立を目指すものであるが、まず、1年目では量子ドットによる細胞内物質染色法の確立を目指した。従来の蛍光色素を量子ドットに置き換えて数種類程度の物質で蛍光免疫染色を行った。その結果、従来の蛍光色素とほぼ同様に染色される物質もあるが、染色態度が異なるものもあった。特に核内タンパク質の一部(p53など)に関しては量子ドットによる蛍光免疫染色では核内にごく弱い蛍光を認める程度であった。この理由としては、量子ドットと従来の有機系蛍光色素との大きさや物理化学的性質の差が考えられた。この問題点を克服するために、標本固定法の再検討(固定剤の変更、固定前処理、固定時間、温度など)、蛍光免疫染色法の検討を現在行っている。固定に関してはタンパク質の一部が流出してしまうデメリットはあるが、界面活性剤による前処理過程を加えることで染色態度が従来蛍光色素と同等になるものもあった。 2年目はさらに固定法、染色法の検討を重ね、複数の抗原に対しても同時蛍光免疫染色が行える条件を設定し、セルアレイへの応用を行う予定である。
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