2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性リンパ腫におけるN型およびO型糖鎖とガレクチンの生物学的機能の解明
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17790241
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 理 Fukushima Medical University, 医学部, 助教 (00325953)
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Keywords | ガレクチン / 糖鎖 / シアル酸 / リンパ腫 |
Research Abstract |
研究目的:ヒト悪性リンパ腫において糖鎖の生物学的機能は不明な点が多く,糖鎖の機能を規定する分子として糖鎖をリガンドとするガレクチンと悪性リンパ腫との関連について報告している研究は少ないと考えられる。ガレクチンはマクロファージから産生され,可溶型として血漿中に浮遊している。このことから本研究は可溶型ガレクチン-3がリンパ腫においてapoptosisを調節することによりリンパ腫細胞の生物学的悪性度に影響している可能性について明らかにすることを目的とする。 研究方法:当教室において樹立されたびまん性大細胞型Bリンパ腫(DLBCL)細胞株HBL-2を用いて,ガレクチン-3により細胞死の誘導を試みた。また,細胞死がapoptosisであるかどうかを解析し,また,ガレクチン-3による細胞死における細胞表面の糖鎖やシアル酸の役割について検討した。 研究成果:ガレクチン-3はHBL-2に細胞死を誘導するが,細胞死は形態的に核の断片化を示すことやAmexin-Vassayによる解析からapoptosisであることがわかった。このガレクチン-3によるapoptosisはN型糖鎖の合成阻害剤であるスワインソニン処理により阻害をうけ,ガレクチン-3は細胞表面のN型糖鎖と反応することによりapoptosisを誘導することがわかった。さらに,ノイラミニダーゼ処理により細胞表面のシアル酸を除くとガレクチン-3によるapoptosisが促進された(Oncology Reports19:743-748,2008.)。したがって,N型糖鎖やシアル酸はガレクチン-3によるapoptosisを調節していると考えられる。これらのことからDLBCLにおいて細胞表面のN型糖鎖がない場合や糖鎖がシアル化されている場合にはリンパ腫細胞はガレクチン-3によるapoptosisから逃れやすいことが推測された。
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Research Products
(1 results)