2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝細胞癌の多段階発癌における腫瘍間質の機能解析
Project/Area Number |
17790246
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杜 ぶん林 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90348798)
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Keywords | 肝細胞癌 / 腫瘍間質 / 骨髄間質細胞 / CD31 |
Research Abstract |
生体内でヒト腫瘍間質を有するヒト肝癌モデルの開発を通じて、その腫瘍間質を構成する細胞の起源さらにはその生物学的特徴と癌のプログレッションにおける役割や癌細胞との相互作用を分子レベルで明らかにすることを目的とし、以下の研究を行った。 1.ヒト肝癌における癌間質モデルの確立 ヒト肝癌細胞株を皮下移植したNOGマウスに、マーカー遺伝子EGFPを導入したヒト骨髄間質細胞を移入し、7日経過した後、腫瘍を摘出した。共焦点レーザー顕微鏡および免疫染色では、EGFP,ヒト特異的なvimentin陽性の細胞による網状、束状間質の形成が認められた。導入したヒト骨髄間質細胞は腫瘍内に生着し、間質を構成したことが証明され、ヒト由来の腫瘍間質を有する肝癌モデルが確立された。 2.肝癌における癌間質の分子機構の解析 正常肝組織、早期肝癌、進行性肝癌の臨床検体について免疫染色を行ったところ、正常肝組織に比べ、早期肝癌と進行性肝癌においてCD31陽性血管,α-smooth muscel actin (αSMA)の発現量増加が認められ、進行性肝癌では更にcollagen type Iとcollagen type IVおよびCD34陽性腫瘍血管の増加も認められた。また肝癌細胞株とヒト骨髄間質細胞との混合培養を2週間行い、骨髄間質細胞の形質の変化について免疫染色、Array ScannVT1による解析およびWestern blottingにて検討した。その結果、ヒト骨髄間質細胞は肝癌細胞と混合培養した後、αSMA, collagen type I, collagen type IV, CD31の発現が誘導されることが明らかとなった。一方、in vivoでは、ヒト骨髄間質細胞が移入されたマウス皮下の肝癌では、骨髄間質細胞でのαSMA, collagen type I, collagen type IVの発現亢進が認められた。
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