2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血病態に及ぼすアストロサイトギャップ結合機能のヒト剖検脳を用いた検討
Project/Area Number |
17790247
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Research Institution | Research institute for Brain and Blood Vesseis Akita |
Principal Investigator |
中瀬 泰然 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 神経内科学研究部, 研究員 (60390928)
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Keywords | 脳梗塞 / 星状膠細胞 / ギャップ結合 / コネキシン / 免疫組織染色 / 蛍光抗体法 |
Research Abstract |
平成17年度はまず、対象剖検脳の抽出を行った。過去10年間の脳梗塞症例(全236例)の中から、診療記録にて患者背景や病態が把握できたもの(53例)を抽出した。さらに、急性発症の脳梗塞として心房細動のみを有する脳塞栓症と過去に数回の脳梗塞既往を有する多発性脳梗塞症例とに分類し、免疫組織染色が可能であったもののみを対象とした。その結果、心原性脳塞栓症は5例あった。多発性脳梗塞は合併症による結果の修飾を避けるため、死亡までの期間が1週間以内のもののみを対象としたため4例であった。次に、ヘマトキシリン-エオジン染色を行って脳梗塞巣を検出し、新たに免疫組織染色用に切片を作成した。神経細胞の観察用に抗ニューロフィラメント抗体、アストロサイト観察用に抗GFAP抗体、ギャップ結合観察用に抗コネキシン43抗体、虚血障害部位の検出用に抗ヒートショック蛋白抗体などを用いて免疫染色を行った。2次抗体に蛍光標識を用いることで蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡での二重染色の観察を可能にした。各種蛋白の発現量を免疫染色陽性領域として計算したところ、心原性脳塞栓に比べて多発性脳梗塞の病巣周辺部にてコネキシン43発現量の有意な上昇を認めた。また同部位における神経細胞も多発性脳梗塞の方で有意に多く保持されていた。アストロサイトギャップ結合は繰り返す虚血障害により発現量が増加し、神経細胞保護的に作用している可能性が示された。以上の結果は国際神経学会で報告した。
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