2005 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド蛋白を標的としたアルツハイマー病治療に有効な漢方の探索及び作用機序解明
Project/Area Number |
17790253
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 博典 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10396442)
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Keywords | 漢方 / アルツハイマー病 / β-アミロイド蛋白 / 釣藤鈎 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
はじめに、in vitroにおけるβ-アミロイド(Aβ)蛋白の凝集抑制作用および凝集解離作用を有する漢方生薬を探索するため、臨床でアルツハイマー病に有効である漢方の構成生薬の抽出エキス(水、メタノールおよびエタノール)を作成した。そのエキスを用いて、老人斑の主要成分であるAβ_<1-40>およびAβ_<1-42>蛋白の凝集抑制作用および凝集解離作用について検討したところ、釣藤鈎および2種類の生薬に用量依存的な活性が認められた。どの生薬エキスにおいても、10μg/mlで50%程度、100μg/mlで80%程度の効果が認められた。また、2種類の生薬のうち一方において、その含有成分4種類について同様の実験を行ったところ、一つの化合物(主成分ではない)に顕著な凝集抑制作用および凝集解離作用が認められた。このことから、この化合物が活性成分であることが推測される。現在、他の生薬についても有効成分探索を行っている最中である。 さらに、2種類の生薬については、APPトランスジェニックマウスを用いin vivoの作用について検討した。このマウスは、脳内にAβ蛋白が蓄積しやすく、アルツハイマー病のモデルとして繁用されている。生後約1年以上経過し、脳内にAβ蛋白が蓄積しはじめたマウスに、漢方を餌に混入させることによって3ヶ月間経口投与した。その後に解剖し、脳内のAβ蛋白凝集斑をthioflavin Sによって染色したところ、どちらの生薬投与マウス群においても有意にAβ蛋白凝集斑が減少していた。このことから、これらの生薬(その有効成分)は、脳内Aβ蛋白の蓄積を抑えると考えられ、漢方によるアルツハイマー病の予防戦略に有効であることが示唆された。現在、例数を増やして検討するため、トランスジェニックマウスを飼育している最中である。
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Research Products
(2 results)