2005 Fiscal Year Annual Research Report
RETチロシン1062を介するシグナルの個体発生に果たす役割の解明
Project/Area Number |
17790262
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
時々輪 真由美 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50378006)
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Keywords | RET癌原遺伝子 / GDNF / RETシグナル伝達系 / RET Y1062 / 精子形成 / MEN2A型変異導入トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
<RET Y1062Fノックインマウスの個体発生の異常の検討> RET Y1062Fノックインマウスの成獣について、各種臓器の肉眼的検討、重量測定を行った。また組織切片標本を作製し、野生型マウスのものと比較して異常の有無を検討した。その結果、既に報告している腸管神経節、腎臓の異常以外にRET Y1062Fノックインマウスでは精巣が低形成であることが判明した。精巣低形成の原因を解明するため、組織学的に詳細に解析したところ、生後14日目までには明らかに全てのタイプの精細胞が減少しており、生後28日目まで生存したマウスの精巣では、Sertoli細胞のみの精細管が多数を占めていることがわかった。また抗RET抗体を用いた免疫染色ではRETを発現する精祖細胞が減少していた。これまでにRET陽性の精祖細胞は生殖幹細胞であるという報告がなされており、免疫染色で得られた結果はRETのチロシン1062を介するシグナルが生殖幹細胞の維持に関わることを示唆するものと考えられた。この結果をもとに、現在、生殖幹細胞の機能(未分化状態の維持、自己複製能)の発現においてRETのチロシン1062を介するシグナルがどのような働きを有するかについて検討中である。 <RET Y1062FノックインマウスとMEN2A型変異導入トランスジェニックマウスとの交配によりもたらされる表現型の検討> RET Y1062Fノックインマウスのヘテロ変異型とMEN2A型変異導入トランスジェニックマウスのヘテロ変異型を交配させ、一世代目の二重変異導入マウスを産出した。これらのマウスの中に頚部、腹部に腫瘍を形成するものが見られた。現在これらのマウスの遺伝子型、各種臓器の組織学的検討、腫瘍の病理組織学的検討およびRETタンパクの発現の生化学的検討を行っている。
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