2005 Fiscal Year Annual Research Report
小胞輸送関連遺伝子シナプトタグミン様タンパク質欠損マウスの作製および解析
Project/Area Number |
17790272
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
三枝 智香 独立行政法人理化学研究所, 福田独立主幹研究ユニット, ユニット研究員 (00280800)
|
Keywords | 小胞輸送 / 開口放出 / ノックアウトマウス / シナプトタグミン / Rab27 / 胃粘液 / 膵臓 / 外分泌 |
Research Abstract |
シナプトタグミン様蛋白質(Slp1,Slp2-a)の機能を明らかにするために、Slp1,Slp2-aのマウス個体での発現様式を特異的抗体を用いたウエスタンブロット法、免疫組織化学法、および免疫沈降法により調べたところ、Slp2-aは膜輸送関連分子であるRab27A/Bとマウス胃表層粘液分泌細胞頭頂部に共局在しており、なおかつ、Slp2-aとRab27A/Bは胃において特異的に結合することが明らかとなった。このことからSlp2-a-Rab27A/B複合体が、胃表層細胞からの粘液分泌に関与していることが予想された。Slp2-a欠損マウスの胃表層粘液分泌細胞の形態を電子顕微鏡で観察したところ、野生型と比べて分泌顆粒数が有意に減少していた。さらに胃細胞培養系での粘液分泌を測定したところ、粘液分泌量もSlp2-a欠損マウス由来細胞において有意に低下していた。以上の結果より、マウス胃粘液の分泌過程にSlp2-aが関与することが示唆された。胃粘液の分泌を制御する細胞内膜輸送関連分子として同定された蛋白質はSlp2-a-Rab27A/B複合体が初めてであり、胃粘液分泌の分子機構を解明する上で非常に有意義な結果である(論文投稿中)。 Slp1は膵臓の外分泌細胞での発現が認められ、膵臓外分泌への関与が予想された。Slp1欠損マウスの膵臓外分泌細胞の表現型を現在解析中である。 またSlp1およびSlp2-a両遺伝子とも発現していると思われる免疫系の解析を行うために、Slp1-Slp2-a二重欠損マウスも交配により得ている。胎生致死ではなく、見かけ上野生型マウスと差がないことを確認しており、細胞レベルでの解析を進める予定である。
|