2006 Fiscal Year Annual Research Report
エキノコックスの発生・増殖制御における14-3-3タンパクの機能解析
Project/Area Number |
17790274
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松本 淳 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 博士研究員 (70296169)
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Keywords | 人獣共通感染症 / 寄生虫症 / エキノコックス症 / 14-3-3タンパク / Antigen B / 増殖 |
Research Abstract |
本年度は、エキノコックス感染宿主における虫体発育と、虫体由来14-3-3タンパクに対する特異的抗体応答について比較解析した。中間宿主については、近交系マウス4系統に対して虫卵を経口投与し、その後27週目に剖検して虫体の発育を観察した。その結果、DBA/2およびAKR体内では、活発な虫体増殖が観察された。特にDBA/2由来虫体は、多数の原頭節を含む成熟シストを形成した。一方、C57/BL6およびC57/BL10では、虫体に対する宿主組織反応が強く、虫体の発育も未熟だった。次に、虫体由来14-3-3に対する特異的抗体応答をイムノブロッティングにより調べた結果、虫卵感染に対して高い感受性を示した2系統では、抗体応答が微弱であったのに対して、抵抗性を示した2系統では、強い抗体応答が観察された。以上の結果は、(1)虫体由来14-3-3に対する特異的免疫応答が、虫卵感染に対する抵抗性に関与すること、(2)中間宿主体内での虫体発育においては14-3-3が重要な機能をことを、それぞれ強く示唆する。 一方、成虫感染終宿主としてビーグル犬を使い、虫卵排出期における14-3-3特異的抗体応答を調べた結果、強い抗体応答が観察された。14-3-3は、感染期幼虫からシスト期にかけて高発現されるタンパクであることから、成虫が産出する虫卵の一部は宿主腸管内で孵化し、感染期幼虫が産生する14-3-3が宿主抗体応答を刺激すると推測される。 さらに、エキノコックス幼虫のもう一つの増殖関連因子として、宿主免疫応答からの回避に関与すると考えられている虫体由来リポタンパクAntigen Bに着目し、その発現パターンを解析した。その結果、Antigen Bの発現は宿主のT細胞依存性免疫に対応して制御されることが明らかとなり、本症の宿主-寄生体相互作用におけるAntigen Bの重要性が示唆された。
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Research Products
(2 results)