2005 Fiscal Year Annual Research Report
カテコールアミンがもたらす腸炎ビブリオの病原性に対する影響の解析
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17790286
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中野 政之 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, COE研究員 (60398005)
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Keywords | 腸炎ビブリオ / ノルエピネフリン / 病原性 |
Research Abstract |
ノルエピネフリン(NE)はこれまでの研究により腸管病原細菌の増殖を促進し、かつ病原性を亢進することが報告されているが、日本における細菌性食中毒の主要原因菌である腸炎ビブリオに対するNEの影響に関する報告はない。 はじめに、腸炎ビブリオの病原性に対するNEの影響を解析するために腸管上皮由来の培養細胞存を用いた細胞毒性試験を行うin vitroでの評価を行ったところ、NE存在時では非存在時と比較して有意な細胞毒性効果の上昇が認められた。解析の結果より、細胞毒性効果の上昇は腸炎ビブリオの増殖に依存するものではなく、細胞毒性に関与する何らかの因子の産生上昇であることが推測された。そこでmRNAの産生量の変化について解析を行ったところ、腸炎ビブリオの細胞毒性効果に関与する遺伝子のmRNAの有意な産生上昇が認められ、NEが腸炎ビブリオ遺伝子の発現調節を行っていることが認められた。また、ラット腸管結紮ループモデルを用いたin vivoでのNEの腸炎ビブリオの病原性に対する影響を調べたところ、本モデルにおいてもin vitroの場合と同様にNE存在下では非存在下と比較すると有意な下痢原性効果の上昇が認められた。以上のことより、NEは腸炎ビブリオの病原性を亢進することが明かとなり、そのメカニズムとして病原性に関与する遺伝子の発現調節を行うことで病原性の亢進が行われていることが推測された。 現在は、これまでに得られた結果に関してより詳細な解析を行っており、多くの新たな知見が得られている。
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