2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウエルシュ菌α毒素による血小板ラフト構造変化と血小板凝集シグナル伝達構造の解析
Project/Area Number |
17790287
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
玉井 栄治 香川大学, 医学部, 助手 (40333512)
|
Keywords | Clostridium perfringens / α毒素 / 脂質ラフト / 脂質ラフトクラスタリング / スフィンゴミエリン / セラミド / 不連続ショ糖密度勾配法 |
Research Abstract |
ウエルシュ菌の分泌するα-毒素は、ボスホリパーゼC(Plc)活性に加えスフィンゴミエリナーゼ(SMase)活性を有するユニークな毒素である。また、本毒素は、ウエルシュ菌によるガス壊疽の主要因子である。このガス壊疽の発症には、α-毒素の血小板凝集作用による血流障害が主要な原因であることが指摘されている。一方、血小板凝集には、脂質ラフトと呼ばれる膜ドメイン及びそこに局在するタンパク質群が関与していることが明らかになってきた。本研究の目的は、本毒素による血小板の脂質分解がどのようなメカニズムで血小板凝集を引き起こすかを脂質ラフトに注目して明らかにすることである。 前年度までに、ラフトを破壊する試薬(MBCD)やラフトを分離する方法(不連続密度勾配法)さらには、ラフトに親和性を持つ試薬(DiI C18)を用いて、毒素が脂質ラフトに作用して血小板凝集を引き起こしていることを示唆する結果を得ていた。本年度は、より直接的な結果を得るため、ラフトマーカーである蛍光標識コレラトキシンを用いてラフト変化の可視化を試みたが、感度不足で十分な結果を得ることはできなかった。一方、Bacillus cereus及びStaphylococcus aureusの産生するSMaseは、血小板に作用させるとセラミド(スフィンゴミエリンの分解産物)を生成するが、血小板凝集は起こさなかった。この結果から、α-毒素による血小板凝集には、1)セラミドとジアシルグリセロールの同時産生、及び、2)ラフトに作用する事、のどちらかもしくは両方が必須なのではないかと考えられる。上記の新たに発生した課題は、本研究において重要なポイントであるため、現在詳細な研究を行っている。
|