2005 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌タイプIII分泌装置のレギュレーターInvE蛋白発現の転写後調節機構の解析
Project/Area Number |
17790299
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
三戸部 治郎 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (40333364)
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Keywords | 細菌 / 病原性 / 発現制御 / 転写後調節 / RNAシャペロン / Type III secretion system |
Research Abstract |
赤痢菌の病原性蛋白分泌装置(Type III secretion system, TTSS)遺伝子群の発現はCpx二成分制御系で調節される。申請者は転写後レベルでTTSSの調節因子InvEの発現が低下している変異体としてCpx系のセンサーcpxAの変異体を得て、赤痢菌の病原性発現に今まで知られていない転写後調節系が存在する可能性を報告した。 この転写後調節にかかわる蛋白因子、RNAシャペロンを同定するため、cpxA欠損株のTTSS発現を回復させるような変異体を検索しyfgA遺伝子を分離した。研究計画に従いyfgA遺伝子を解析したところ、cpxA-yfgA二重変異株はInvE蛋白の発現が回復しており、野生型赤痢菌でyfgA遺伝子を過剰発現させると、InvEの発現が低下すること、cpxA変異体ではYfgAの蛋白発現が増加していることを証明した。またyfgA変異株にリファンピシンを加え転写を止めてinvE-mRNAの安定性を調べた所、約3分の半減期で減少するはずのinvE-mRNAが、30分経過後も70%以上残存しており、yfgA遺伝子はmRNAの分解に作用することが示唆された。平行してYfgA蛋白の発現系を作製しヒスチジンタグで精製した蛋白を用いてウサギ抗血清の作製を開始した。このYfg蛋白とin vitroで合成し放射能ラベルしたinvE-RNAを混合してゲルシフトアッセイを行ったことろ、バンドのシフトが認められ、ラベルしていないColdのinvE-RNAの添加でシフトが消失したことから、YfgA蛋白はRNA結合活性があることが示された。酵母由来のtRNAの添加ではシフトの消失が見られないことから、何らかの配列特異性があるものと予想される。以上の結果を第79回日本細菌学会で報告した。バクテリアでRNA結合活性をもった蛋白はわずかしか知られていないため、今後の解析が期待される。
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