2005 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスのHA亜型とNA亜型の組み合わせは生存のための必要条件か
Project/Area Number |
17790300
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高下 恵美 山形大学, 医学部, 助手 (30361249)
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Keywords | インフルエンザウイルス / HA |
Research Abstract |
A型インフルエンザウイルスは、ウイルス表面に存在する2種類の蛋白質、HAとNAの抗原性の違いによって実に135種類もの組み合わせの亜型に分けることができる。しかし興味深いことに、これまで実際にヒトの世界で大流行を引き起こしたのは、135種類のうちのわずか3種類の亜型にすぎない。なぜか?その理由を検証するのが本研究の目的である。 人類は20世紀に4度(1918年、1957年、1968年、1977年)インフルエンザの世界的大流行を経験した。これは従来のウイルスとは抗原性が異なる新しい亜型のHAをもつウイルスが、突然ヒトの世界に出現することによる。4度の大流行は全て、15種類あるHAの亜型(H1〜H15)と、9種類あるNAの亜型(N1〜N9)の135種類の組み合わせの中で、HIN1、H2N2、H3N2の3種類のウイルスによって引き起こされている。これらの事実は、HAとNAの組み合わせがウイルスの生存に大きな影響を及ぼす可能性を示唆している。そこで本研究では、現在もヒトの世界に存在するH1N1とH3N2を対象として、リバース・ジェネティクス法により人工的にH1N2およびH3N1ウイルスを作り出し、野生型H1N1およびH3N2と比較して実際に生物活性が低下するかどうかを明らかにする。 本年度は、現在もヒトの世界に存在するH1N1とH3N2ウイルスを鋳型として、リバース・ジェネティクス法により人工的にH1N2およびH3N1ウイルスを作り出すことに成功した。次年度にはこれら人工ウイルスと野生型H1N1およびH3N2ウイルスの増殖能、レセプター結合能、膜融合能等を解析し比較する予定である。
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